transix(トランジックス)という通信方式をご存知でしょうか?
簡単に言うと「新しい経路を使って通信するため、混雑の影響を受けず高速通信が可能」な通信方式です。
仕組みは「v6プラス」とほとんど同じで、まとめて【IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6】と呼ばれています。
ようするに、transix対応光回線は「回線が速くなる」のですが、この記事ではその仕組みとメリット、使い方などの詳細までを解説していきます!
次世代の通信方式である「transix」を導入すれば、回線速度が凄く快適になるので是非検討してみてください!
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v6プラスと似た技術「transix(トランジックス)」の仕組み
ここではtransixの仕組みを詳しく解説していきますが、前提として「IPアドレス」「PPPoE」「IPoE」の事を知っておくと、より理解が深まるかと思います。
長くなってしまいますが、順番に解説していきます!
そもそもIPアドレスとは?IPv4とIPv6について
IPv4 | IPv6 | |
---|---|---|
IPアドレスとは? | インターネット上での住所のようなもの | |
アドレスの例 | 192.168.1.1 | 2001:db8::1234:0:0:9abc |
アドレス数 | 43億個 | 340澗個 |
対応サイト | ほぼ全て | Google、Youtubeなど (近年増加しつつある) |
「192.168.1.1」のような数字の羅列に見覚えはありませんか?これは「IPアドレス」といって、インターネット上での住所のようなものです。
Webサイトやアプリ、このサイト「なるほどwifi」にもIPアドレスが割り当てられていて、各コンテンツにアクセスするためには、このIPアドレスが必要になってくるんです。
このサイトのIPアドレスなんて知らないけど?と思われるかもしれませんね。IPアドレスはWebサイトの場合「URL」に変換され、分かりやすいように表現されています。
IPアドレスには今まで主流だった「IPv4」と、新しく普及しつつある「IPv6」の2種類があります。
IPアドレスは「インターネット上の住所」なので、ネットワーク上に存在している「Webサイト」や「アプリ」など全てに割り当てられています。IPv4アドレスには「43億個」という上限があり、近い内に枯渇してしまうのでは?と懸念されています。
その問題を解決するのが「IPv6」と呼ばれる新しいIPアドレスです。IPv6アドレスは「340澗個」まで割り当てる事ができ、ほぼ無限に使えると言われています。
(340澗は数値にすると340000000000000000000000000000000000000です笑)
この新しい「IPv6アドレス」に対応するよう、各サイトやネットワークサービスは順次対応を進めていっています。しかし、IPv4にしか対応していないネットワークサービスも未だに多く、IPv6で通信出来ない場合も多いです。
ちなみにですが、このサイト「なるほどwifi」はIPv6に対応しています!
このIPアドレス、実は直接通信速度に関係している訳ではないんです。次で解説しますが、IPv6アドレスのみで使用できる「IPoE」と呼ばれる通信方式が関係してきます!
2つの通信方式「PPPoE」「IPoE」と「IPv4 over IPv6」について
PPPoE | IPoE | |
---|---|---|
使えるIPアドレス | IPv4、IPv6 | IPv6 (IPv4 over IPv6) |
通信速度 | 最大200Mbps | 最大100Gbps |
混雑状況 | 混雑 | 快適 |
セキュリティ | ID/パスワード | 回線認証 |
IPv4アドレスでは「PPPoE」、IPv6アドレスでは「PPPoEとIPoEのどちらか」の通信方式を使って実際にインターネットに接続しています。
従来ではIPv4アドレスを使って、「PPPoE」方式でインターネット接続するのが主流でした。このPPPoE方式は利用者が多いため、非常に混雑しています。更には最大通信速度も200Mbpsまでしかでません。
対して、IPv6アドレスで使われる通信方式「IPoE」は最大100Gbpsまでの速度に対応、利用者が少ない事から快適に利用できると言われています。
ですがこの「IPoE」通信は、IPv6アドレスのための通信方式なので、サイト側もIPv6に対応している必要があります。
せっかく高速通信できる「IPv6 IPoE」もIPv4のサイトやゲームなどでは使えず、「IPv4 PPPoE」で通信する事になっちゃいます。
その問題を解決するのが「IPv4 over IPv6」です!IPv4にしか対応していないネットワークサービスも「IPoE」方式を使って、まるでIPv6に対応しているかのように通信が出来る技術です!
transixは【IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6技術(DS-Lite)】を使用!
【IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6技術(DS-Lite)】とは、IPv6対応サイトはIPoEで接続、IPv4にしか対応していないサイトやサービスはIPv4 over IPv6を使ってIPoEで接続する、という意味です。
このIPv4 over IPv6を実現するためにDS-Liteという技術を採用したものを「transix」と呼びます!
「transix」を使えばどんなサイトやサービス、ゲームにも「IPoE」の通信方式が利用でき、高速通信に期待できるんです。PPPoEのような混雑による速度低下の心配もありません!
transixを利用する際は、DS-Liteに対応したルーターの用意が必要です。事業者によってはレンタルで用意してくれる場合もあります。
回線事業者によっては、transixの事を「DS-Lite」と表記している事もあります。どちらも同じ意味と捉えてOKです!
transixと似た技術「v6プラス」との違いは?
transix | v6プラス | |
---|---|---|
通信方式 | IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6 | |
技術 | DS-Lite | MAP-E |
IPアドレス割当場所 | 事業者側 | 自宅ルーター |
ポート開放 | 不可 | 可能 |
「transix」も「v6プラス」も同じ「IPv6 IPoE+IPv4 over IPv6」で通信していますが、通信方式を実現するために使われている技術が異なります。
といっても、仕組みはほとんど同じです。私たち利用者目線で考えた時に気を付けておきたい違いは「ポート開放ができるかどうか」です。
2つの技術は、IPアドレスの割当をする場所が違います。transixは事業者側で割当を行うので、ポート開放をする事ができません。
普段ポート開放を使うことはあまりないとは思いますが、一部ゲームではポート開放をしてオンラインプレイをするものもあります。ポート開放を使うかもしれない方は注意しておきましょう。
transixのメリットは「通信速度の向上」
仕組みについて上記で解説してきたとおり、transixのメリットは「混雑の回避」&「通信速度の向上」の2つです!
従来の「PPPoE」という通信方式では、利用者の多さから非常に混雑していました。設備増強も間に合っておらず、混雑の影響で通信速度も低下してしまっていたのです。
新しい通信方式「IPoE」は、本来IPv6でのみ利用される方式ですが「transix」を利用することで、IPv6に対応していないサービスにも「IPoE」で接続出来るようになります!
IPoEで接続すると「通信速度の改善」&「混雑時間の速度低下を防ぐ」事ができるんです。通信速度の遅さに悩んでいる方は、ぜひ使ってみてください!
transixを利用できるおすすめ光回線4社を比較
月額料金 | transix利用料金 | 対応ルーター | |
---|---|---|---|
enひかり | 戸建て:4,300円 マンション:3,300円 | 180円 | 自前で用意 |
ドコモ光 | 戸建て:5,200円 マンション:4,000円 | 無料 | ドコモ光ルーター (月額350円) |
excite MEC光 | 戸建て:4,428円 マンション:3,355円 | 無料 (標準装備) | MEC光専用ルーター (月額264円) |
IIJmioひかり | 戸建て:4,960円 マンション:3,960円 | 800円 | 自前で用意 |
transixを利用できるおすすめの光回線4社を比較してみました。料金的には「enひかり」と「excite MEC光」が優れていますね。ドコモ光は工事費が不要なので、初期費用の安さが魅力的です。
1.enひかり【契約期間の縛り無し】
サービス名 | enひかり「transix(トランジックス)」 |
---|---|
月額料金 | 戸建て:4,300円 マンション:3,300円 |
transix利用料金 | 180円 |
対応ルーター | DS-Lite対応ルーターを自前で用意 |
備考 | 契約期間の縛り無し/解約金0円/工事費が有料 |
- 月額料金が安い
- 契約期間の縛り無し
- いつ解約しても解約金0円
- transixのほか、v6プラスも利用可能
- transix用のDS-Lite対応ルーターは自前で用意
- 工事費2,000円~15,000円が初期費用として必要
enひかりは契約期間がない割に、月額料金が最安値クラスなのが特徴です!工事費などの初期費用がかかってしまいますが、いつ解約しても0円なのは安心ですね。
transix用のDS-Lite対応ルーターは、以下のメーカーページからチェックしてみてください。
ルーターは、安価でコスパの良い「NEC Aterm PA-WG1200HS3」や、少し高額ですが高機能な「NEC Aterm WG2600HP3」あたりがおすすめです!
2.ドコモ光【工事費無料/ドコモスマホ割】
サービス名 | ドコモnetの「IPv4 over IPv6機能」 |
---|---|
月額料金 | 戸建て:5,200円 マンション:4,000円 |
transix利用料金 | 無料 |
対応ルーター | ドコモ光ルーター(月額350円) |
備考 | プロバイダは「ドコモnet」を選択/工事費無料 |
- 標準的な月額料金/契約期間(2年)
- transixを利用する場合、プロバイダは「ドコモnet」のみ対応
- transix用のDS-Lite対応ルーターはレンタル可
- ドコモスマホ割でドコモユーザーはお得に
ドコモ光はプロバイダを選べる光回線です。transixを利用する場合はプロバイダを「ドコモnet」で申込む必要があります。
transix自体の利用料金は無料で、新規開通時にtransix機能も利用可能となっています。対応ルーターもレンタル出来るので安心です!
3.excite MEC光【契約期間の縛り無し】
サービス名 | IPoE接続 |
---|---|
月額料金 | 戸建て:4,428円 マンション:3,355円 |
transix利用料金 | 無料 |
対応ルーター | MEC光専用ルーター(月額264円) |
備考 | 契約期間の縛り無し/解約金0円/工事費が有料 |
- 月額料金が安い
- 契約期間の縛り無し
- いつ解約しても解約金0円
- transix用のDS-Lite対応ルーターはレンタル可
- 工事費15,000円~18,000円が初期費用として必要
「excite光」ではなく、「excite MEC光」なので注意してください。excite MEC光は、IPoE接続をtransixで提供している光回線です。
transix対応ルーターを月額100円でレンタル出来るのでありがたいですね!enひかりと同じく、契約期間がない割に月額料金が安いところも魅力的です。
4.IIJmioひかり【料金が高め…】
サービス名 | IPoEオプション |
---|---|
月額料金 | 戸建て:4,960円 マンション:3,960円 |
transix利用料金 | 800円 |
対応ルーター提供 | DS-Lite対応ルーターを自前で用意 |
備考 | 工事費が有料/IIJmioのSIM割有 |
- 標準的な月額料金
- IIJmioのSIMとセットで600円割引
- transix利用料金は800円
- 全体的に料金が高め
IIJmioひかりは上記3社と比較すると料金が高めで、あまりメリットがありません。transixを利用するには月額に+800円必要ですし、DS-Lite対応ルーターも自分で用意する必要があります。
transixを実際に利用するまでの流れ
- transixに対応した光回線へ申込み
- transix(IPv6通信)が利用できるかの確認
- 開通したらルーター側でtransixの接続設定を行う
まずはtransixを提供している光回線サービスへ申込みしましょう。transixがオプションとなっている事もあるので、必ずチェックしてください。
工事の際、transixが利用できない回線しか敷設できない事もあります。その場合は対応されるまで気長に待つしかないでしょう。
開通後、ルーター側で設定が必要です。BUFFALO製やNEC製のルーターは「回線自動判別機能」を搭載しており、transixが利用できる回線と判別した場合は自動で利用できる設定へ変更してくれます。
インターネットへ接続できれば準備完了です。transixの高速インターネットを楽しみましょう!
【Q&A】transixに関する質問
最後に、transixに関してよくある疑問点を掲載しています。分からない事があればチェックしてみてください!
Q1.transixはポート開放できる?
transixはポート開放を利用できません。ポート開放をしたい場合、一度PPPoE接続に切り替える必要があります。ルーターで設定可能なのでチェックしてみてください。
transixと似た機能である「v6プラス」であれば、ポート開放を利用可能です。
Q2.transixでPS4・Switchは遊べる?
PS4やSwitchなどのオンラインゲームもtransixで快適に遊ぶ事が可能です。PPPoE接続よりも通信速度の向上に期待できるので、ぜひ試してみてください。
ルーター側でtransixへの接続設定をしておけば、PS4やSwitch側での設定変更は不要です。
Q3.transixとDS-Liteの違いは?
IPv4 over IPv6接続を「DS-Lite」という技術で実現したものを「transix」といいます。回線事業者によって、「DS-Lite」「transix」「IPv4 over IPv6」など、名前の表記が違いますが、全て同じ意味と捉えて大丈夫です。
まとめ:transix
- transixを使うと通信速度が向上、混雑の影響を受けにくくなる
- 従来のPPPoE方式ではなく、IPoE方式を使って通信する
- 利用するにはDS-Liteに対応したルーターが必要
- transixを利用できるサービスは「enひかり」「ドコモ光」など
- 通信速度で悩んでいる方にはおすすめのサービス
この記事ではtransixについて解説しました。
transixは難しい技術ですが、簡単にいうと「混雑を回避し、回線速度を向上させる」サービスです!v6プラスと似た技術で、あまり違いはありません。
通信速度で悩んでいる方にはおすすめのサービスです。夜の混雑時間に遅い!という方は、まずは契約中の光回線にv6プラスやtransixが利用できるオプションがないかチェックしてみてください!
transixについて調べていた方の参考になれば幸いです。長くなってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございます!