ルーターを探したりする時に「Wi-Fi 6」という表記を見たことありませんか?
「Wi-Fi 6」とは、2019年末~2020年頃より普及しだした、最新の無線LAN通信規格のことです。
「速いの?」「どうやって使うの?」などなど…色々と疑問点があるかと思います。
この記事では、「Wi-Fi 6」について分かりやすく紹介していきますので、是非参考にしてみてください!
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「Wi-Fi 6」とは?正式名称「IEEE 802.11ax」について解説!
Wi-Fi 6 について | |
---|---|
名称 | Wi-Fi 6 |
規格名 | IEEE 802.11ax |
通信速度 | 最大9.6 Gbps |
利用周波数帯 | 2.4GHz , 5GHz |
そもそも「Wi-Fi」とは?というお話からしていきたいと思います。
Wi-Fiとは、無線LANの通信規格のひとつです。「通信規格=通信する時の方法を定めた約束ごと」というイメージで、Wi-Fiは世界で最も普及した無線LAN規格ですね。
Wi-Fiが普及するまでは、端末側に実装された無線LAN規格がバラバラで、別の端末間で無線LAN通信が出来ない、などの問題がありました。(2000年以前ぐらいの話です)
「Wi-Fi」という名称で無線LAN規格を統一する事で、様々な端末間で無線LAN通信を滞りなく使えるようにした、という感じです。
今では、無線LAN=Wi-Fiという認識の方も多いかと思いますが、その認識で大丈夫です!
さて、その「Wi-Fi」にも色々と種類があります。「IEEE 802.11n」「IEEE 802.11ac」などなど…、ルーターのスペック表とかで見覚えがある方もいるのではないでしょうか。
このWi-Fiの種類の中で、最新のものが「Wi-Fi 6」という名称なんです。正式名称は「IEEE 802.11ax」で、今回から分かりやすくするために「Wi-Fi 6」という名称が定められました。
Wi-Fiも日々進化しており、2021年現在で最新規格である「Wi-Fi 6」は、規格上では最大9.6Gbpsまで対応しています。
次の項目で「Wi-Fi 6」の凄さについて紹介してみます!
「Wi-Fi 6」 は凄いの?IEEE 802.11acとスペックを比較してみた!
Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac) | |
---|---|---|
最大通信速度 | 9.6 Gbps | 6.9 Gbps |
利用周波数帯 | 2.4 / 5GHz 帯 | 5GHz 帯 |
同時通信技術 | OFDM / OFDMA | OFDM |
MU MIMO (上下両方向) | MU MIMO (下りのみ) | |
スペック評価 |
Wi-Fi 6のひとつ前の規格「Wi-Fi 5」とスペックを比較してみます。
最初に少し補足ですが、Wi-Fi 5の正式名称は「IEEE 802.11ac」で、IEEE 802.11axの登場と共に「名前わかりづらくね?」という事で、Wi-Fi 5と名づけられました。
Wi-Fi 6 が登場した時に、「Wi-Fi 5とかあったっけ?」と思った方もいるかと思いますが、分かりやすい新名称が用意されたのは最近の事なんですね。
さて、本題に入りますが…、Wi-Fi 6の開発目標として「最大通信速度の向上」「同時利用時のスループット向上」「多端末接続」が掲げられました。
改善点やユーザー目線でどうなるのか?をざっくり解説してみますね!
最大通信速度について
Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac) | |
---|---|---|
最大通信速度 | 9.6 Gbps | 6.9 Gbps |
Wi-Fi 5 → Wi-Fi 6 で、最大通信速度は1.5倍ぐらいの「9.6Gbps」まで向上しています。ただ、この最大通信速度をユーザー側が実感する事はあまりないでしょう。
今まで主流だった「Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac)」が最大6.9Gbpsとなっていますが、実際にWi-Fiを使っていても精々800Mbpsぐらいが最大値だったと思います。
Wi-Fi 5 に対応していても、例えばルーター側が最大867Mbpsだったり、使っている回線が最大1Gbpsだったり、機器や回線側でボトルネックとなっている事が多いのです。
個人が利用する、比較的安価な機器で最大通信速度の向上を実感できるケースは少ないかと思います。
利用周波数帯について
Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac) | |
---|---|---|
利用周波数帯 | 2.4 / 5GHz 帯 | 5GHz 帯 |
Wi-Fi 6では、周波数帯「2.4GHz帯」「5GHz帯」の両方を使用します。
Wi-Fi 5 は5GHz帯にしか対応していなかったため、2.4GHz帯を使いたい場合は一つ古い規格を使う必要がありました。
その点、Wi-Fi 6 は両方の周波数帯に対応しているため、2.4GHz帯を使いたいシーンでも通信速度を落とす事なく使用できます。
2.4GHz帯は電波干渉に弱い(電子レンジやBluetoothと同じ帯域)ですが、障害物には強いです。5GHz帯は電波干渉に強く、通信速度も速いのですが、障害物に弱いです。
1~2部屋離れたルーターから受信するなら、2.4GHz帯の方が快適なケースもあります。
この改善点はユーザー側も実感できる、嬉しいポイントだと思います!
同時利用時の通信品質の向上(実測値の向上)
Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) | Wi-Fi 5 (IEEE 802.11ac) | |
---|---|---|
同時通信技術 | OFDM / OFDMA | OFDM |
MU MIMO (上下両方向) | MU MIMO (下りのみ) | |
実測値 | 速い | 普通 |
Wi-Fi 6は「同時利用時のスループット※向上」が効果的で、数値化する事は難しいのですが…、とにかく同時接続時の快適さが向上します!
※スループットとは簡単に言うと「一定期間内に伝送できる通信量のこと」です。
Wi-Fi 5 → Wi-Fi 6 でのスループット向上は約4倍以上と言われています。機器の性能や状況で異なりますが、実測値が4倍ほど向上する、という認識です。
「MU MIMO」という言葉は、見た事がある方もいるのではないしょうか。これは複数の端末で同時に通信出来る仕組みの事で、Wi-Fi 5 では下り方向の通信のみMU MIMOが実装されていました。
Wi-Fi 6 では上下両方向にMU MIMOが実装されています。従来のWi-Fi 5 では上り方向の通信は1端末ずつ順番に通信する必要があったので、複数端末でWi-Fi接続している時の快適性は向上します。
また、Wi-Fi 6 には「OFDMA」という新しい技術が実装されました。Wi-Fi 5 以前で使われていた「OFDM」では、ひとつのサブキャリア※を1つの端末が占有していました。
※サブキャリアとは「データの送受信に使用する光や電波の信号のこと」というイメージです。
Wi-Fi 6 で実装された「OFDMA」では、1つのサブキャリアに複数の端末が分割して使用できるようになります。接続台数が多い時に効率よく通信が出来るようになり、特にIoT用途での活躍が期待されています。
「同時接続時の通信品質向上」で使われている技術は、正直、私も完璧に理解はしていません…汗 1つのルーターにたくさん接続した時の速度が、Wi-Fi 5 の時よりも4倍ぐらい速くなる!というイメージで大丈夫かと思います!
「Wi-Fi 6」対応製品を使う上での注意点3つ
ここでは、実際に「Wi-Fi 6」を使用する場合の注意点も解説していきます。
2020年11月現在だと対応製品が少ないので、正直「普及待ち」といった感じです。
1.ルーター側が「Wi-Fi 6」に対応している必要がある
Wi-Fi 規格 | 最大通信速度 | 価格 | |
---|---|---|---|
BUFFALO WXR-5950AX12 | Wi-Fi 6 対応 | 4803 Mbps | 約30,000円 |
ASUS RT-AX3000 | Wi-Fi 6 対応 | 2402 Mbps | 約16,000円 |
エレコム WRC-X3000GSA | Wi-Fi 6 対応 | 2402 Mbps | 約17,000円 |
当然ですが、Wi-Fiルーターが「Wi-Fi 6」に対応していないと、Wi-Fi 6 は利用出来ません。
2020年11月現在、多くのWi-Fiルーターは「IEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)」までしか対応していません。
Wi-Fi 6 に対応した機種も増えつつありますが、高額なハイスペックモデルばかり。正直、コスパは悪いですね。
なお、Wi-Fi 6 対応ルーターも、Wi-Fi 5 やそれ以前の規格全てに対応しています。「大は小を兼ねる」のように、高性能ルーターを使って不便な事はありません。
フレッツ光、フレッツ回線を使用した「光コラボ」を利用している場合、ルーター側で「IPv6 IPoE(v6プラスなど)」に対応しているか、が重要です。ルーター選びをする時は注意してくださいね。
2.Wi-Fiに接続する端末側でも「Wi-Fi 6」に対応している必要がある
Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax | Wi-Fi 5 IEEE 802.11ac | |
---|---|---|
iPhone 11 | 〇 | 〇 |
iPhone 6~10 | × | 〇 |
iPhone 5s以前 | × | × |
PS4 | × | 〇 |
Switch | × | 〇 |
スマホやパソコンなど、Wi-Fiに接続する側の端末も「Wi-Fi 6」に対応している必要があります。
こちらも2020年11月現在だと、あまり普及していません。例えば、iPhoneだと最新機種である「iPhone11」しか対応していませんし、PS4やSwitchもWi-Fi 5までの対応です。
スマホなどの端末側+ルーター側の両方が「Wi-Fi 6」に対応していないと意味がありません。現時点だと、少し敷居が高いですね。
今後、新発売される製品は「Wi-Fi 6」に対応している事が多くなってくるでしょう。ノートPCはWi-Fi 6 対応製品がどんどん増えています。
もっと普及すれば安価なルーターも販売されるでしょうし、2020年後半ぐらいには、Wi-Fi 6が使えるシーンも増えてくるかと思います!
3.光回線・5Gなど速いインターネット回線でないと恩恵が少ない
使用回線 | 最大通信速度 | |
---|---|---|
NURO光 | 光回線 | 2 ~ 10 Gbps |
eo光 | 光回線 | 1 ~ 10 Gbps |
ソフトバンク光 | 光回線 | 1 ~ 10 Gbps |
ドコモ光 | 光回線 | 1 ~ 10 Gbps |
Wi-Fi 6対応機種を揃えても、速いインターネット回線を用意しないと、あまり実感できないかもしれません。
最大1Gbpsの光回線は用意したいですね。NURO光などの高速回線を用意できれば、更に効果的です。(※NURO光はNURO光側提供の通信機器にWi-Fi機能が内蔵されているので、ルーターを設置する場合は「ブリッジモード」で配置する必要があります。)
2020年は3月後半より通信大手が「5G」に対応したり、4月よりフレッツ光が10Gbpsに対応したりと、インターネット回線も高速化してきています。
回線が高速化してきているので、Wi-Fi 6の需要も高まっていくでしょう。
いち早く「Wi-Fi 6」や「5G」、「最大10Gbpsの光回線」を使った高速回線を体感したい方は、新製品の動向もチェックしてみてくださいね。
まとめ
- 2019年~2020年頃より登場したWi-Fiの最新規格
- 正式名称は「IEEE 802.11ax」
- 分かりやすくするため「Wi-Fi 6」と名付けられた
- 最大通信速度は9.6Gbps
- 同時接続数が多い時の実測値が大幅に向上
- 2020年3月時点では対応機種が少なく、高価
この記事では、Wi-Fi 6 について解説しました。
難しい技術が盛りだくさんですが…、Wi-Fi 6のポイントを簡単にまとめると↓
- 最大通信速度が速くなった
- 2.4GHz帯でも速い
- 同時接続台数が多い時の実測値がかなり改善された
この3点になります!
この記事を作成した2020年3月時点では、まだまだ対応機種が少ないのですが…、今後どんどん普及していくでしょう。
高速回線のサービス開始も多く、2020年は「通信品質が一段階、高品質化する年」だと思い、期待しています。
今すぐWi-Fi 6対応製品に買い替えたりする必要はないですが、気になる方は今後発売される新しい機種のスペックもチェックしてみてくださいね!